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はっきり言って、山中 正太に会うまで…正確に言うなら“山中 正太と知り合う”(知り合うってちゃんと中身を知るって事だけど)まで恋愛なんてモテて楽しめた者勝ちだと思ってた。
でも、俺の定義していた物は、疑似恋愛に過ぎないと思ったんだ。
勿論モテるのはいけない事ではない。
むしろそれほど魅力がある人間と周りから認められている証拠なのかもしれない。
それでもどれだけ沢山の人に好かれるかじゃなくて、大切なのはどれだけ真剣に相手と向き合えるかとか、相手を思いやれるかとか…まぁ、色々とあるんだけどさ、真剣に恋愛したいと中学3年の時そう思った。
だけど俺の場合、その“真剣さ”が裏に出る。
『世の中上手くいかねぇーなぁー!』
ベッドに倒れ込むと、隣の部屋から妹が壁越しに『うるせぇー!』と怒鳴った。
うるせぇー…
今日くらい嘆かせろ!と壁を乱暴に蹴飛ばした。
20歳にもなって5歳下の妹に当たってる自分がみみっちく思えた。
真っ暗な部屋で闇と自己嫌悪が身体に絡み付いたまま眠った。
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