第二話 申し遅れました。私、魔王の娘の父の魔王、と申します。

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この親子は揃いも揃ってちんぷんかんぷんだ。   「それよりもパパ。何故ココに来たのだ? とっても嬉しいじゃないか」   言ってる事と顔の表情は全くの不一致。   そんなに邪険そうな顔をして言うんじゃないよ。   いくらろくでなしの親父でも愛想良くじゃれあってあげるのが子供の使命だろ?   「ほっほ! そうだろうそうだろう! いや、この前のことは流石にワシが悪いと気がついてなぁ。迎えに来てあげたよ! マイ、ラブリーチーたん!」   うわぁ。この魔王。今すぐに叩き潰してやりたい。が。まだ生活費を確認していないので確認しだいぶっ潰すことにしよう。   「い、痛いぞパパ」   「はっはっはっはっは。そうかそうか。パパに会えてそんなに嬉しいのか! パパも嬉しいぞ!」    ぎゅううと、強靭な魔王の腕に抱かれるチーたんはこの世のものとは思えないほどの形相を浮かべている。     待て。親父待て。   気付け。娘は今相当に頭にきているぞ。   「パパよ。今更そんな事を言ってご機嫌とりか? どうせママに言われてやってきたんだろう」   ギクゥ! と、ボロ丸出し効果音で反応を示した魔王はガクガクブルブルといった表現が合うのだろうか。そんな感じに震えだした。見ているこちら側としては面白い。  
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