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とある学生街の居酒屋。
洋一はサークルの飲み会に来ていた。
洋一は音楽をやりたくてこのサークル入ったのだが、まったくと言って良いほど音楽をやっていない。
部室に入っても各々好きな音楽を聞き、雑談するだけ…。
やる事と言えば合宿と称した旅行に行ったり、会議と称した飲み会くらいだった。
最初は洋一も違うサークルに移ろうと思っていたが、何気に旅行や飲み会などそっちが楽しくなり、いつの間にか居着いていた。
「そう言えば、聞いた?例の話し」
「あぁ、あの経済学部の?」
「そそ、なんか…あれ、ヤバイらしいね」
ひとりの男子学生が先日の殺人事件の話しをし始めた。
「あれって噂の都市伝説と同じ死にかたしたらしいじゃん」
「あぁ5年くらい前にあったやつでしょ?」
「そそ、あれも犯人捕まってないらしいから、同一犯なのかもねぇ」
その事件は5年前にも起こっていた。
一人の男子学生が携帯片手に死んでいたのだった。
死因は窒息死。警察も色々捜査したが、手がかりが何一つないまま迷宮に入っていた。
「ちょ…ヤメて下さいよ!幽霊とかの話しじゃないでしょうね!」
柳洋一(やなぎよういち)19才。大学一年生。幽霊等、怖い話が大の苦手。
飲み会は洋一を怖がらすのが恒例になりつつあり、それのせいで飲み会のあと一人暮らしのアパートに帰れなくなった事もあった。
「大丈夫!今回のは幽霊とかじゃなく、殺人事件だから」
「……」
「似たようなもんじゃないですか…」
洋一はビールを飲みながらつぶやくが無視されていた。
「そう言えば噂だと前回の事件って、呪いがどうのこうのってなかった?」
「たしか…何か拾ったんじゃなかっ…」
「!!!!」
「待ったー!!」
話しをさえぎり洋一が叫ぶ。
「やっぱそれ系じゃないですか!」
周りのみんなは洋一の怒る姿を見て大笑いしていた。
「あははは、大丈夫だって!大した話しじゃないから!聞いて大丈夫だよ」
「イヤです!」
「そうやって俺が怖がる姿を面白がってますが、こっちは洒落にならないんですから!」
洋一はビール片手に膨れっ面になっていた。
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