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別のクラスでまた例の生徒がいなくなる事件が起きたらしい。
まあ、別のクラスなんかどうでもいいけど。
でもそいつも僕のいじめによく加わってくる奴だった。
今日は移動教室の授業後に昼休みだった。
教科書と筆記用具を持ってとぼとぼ歩いていると、いつものように足を引っ掛けられた。
というより薙ぎ払われた。
大の字の態勢になりながら、冷たく薄汚れた廊下に体が沈んだ。
運動神経の鈍い僕は、抗う事も出来ずに転倒したため顔面を廊下に激しく叩きつけられた。
口の中が切れたのか、しょっぱいような鉄臭い味が口の中に広がった。
まあ、いつもの事だ。
気にせず体についた埃を払って再び教室の帰路についた。
自分の席に戻ると、弁当が落書きだらけの机の上に取り出されていた。
蓋を開けると白いご飯の上に蛾が羽根を広げて死んでいた。
そこへ樋口さんという外見は美人だが性格の悪い女の子が来た。
「あら、美味しそうね」
僕はシカトして蛾を取り除いたけど、ご飯が蛾の汁で茶色っぽくなっていた。
野生っぽい山のような臭いがしたけど、もったいないから全部食べた。
クラス中から悲鳴に近いどよめきが聞こえた。
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