始まり

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バーの中は明るく、20代の男の子達が接客している。50人は軽く入りそうな広い店内のとあるボックス席に、私達は案内された。 カクテルで乾杯し、飲んでいると、楽器を持った青年が近付いてきた。 メガネをかけて、天パみたいにウェ~ブした髪。口にハーモニカをくわえ、ギターを持っている。 目が少し離れてて、タヌキみたいな顔だな、と密かに笑った。でも、可愛くて愛嬌のある顔だった。 「こんばんは」と話しかけるその男の子は、21歳で、大学で福祉の勉強をしていると言った。名前は寛人。甘いほわんとした雰囲気で、気さくに話しかけてくる。笑顔がとても可愛い寛人に、年下が苦手なえみも、気軽に話す事が出来た。甘えん坊そうな寛人に、年下も悪くないな、とえみは思っていた。
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