33人が本棚に入れています
本棚に追加
二人は施設の中を軽く散歩した。この日だけは、寛人も手を繋いでくれた。それだけでえみは10年分の幸せを全て使い切ったぐらい幸せだった。
バーや居酒屋は勿論なのだが、ファミリーも来る所なので、アスレチックや温泉もあった。アスレチックは、夜になると「イルミの森」という名でライトアップされる。二人はそれを楽しみにしていた。
「取り敢えず、温泉に入ってからご飯を食べよう?」
寛人の提案に
「うん!」
と大きく満面の笑みで応えた。
二人は何十種類もある温泉に入り、食べ切れない程の美味しいキノコ料理に舌鼓を打った。
二人がアスレチックの前に戻ると…
なんと、ライトアップは終わってしまっていた。入り口には「本日は終了しました」的なプレートが揺れている。
「はあ…」
えみは悲しくなった。折角二人でイルミネーションの中を、恋人みたいに歩けると思ったのに…
最初のコメントを投稿しよう!