奇跡

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二人は施設の中を軽く散歩した。この日だけは、寛人も手を繋いでくれた。それだけでえみは10年分の幸せを全て使い切ったぐらい幸せだった。 バーや居酒屋は勿論なのだが、ファミリーも来る所なので、アスレチックや温泉もあった。アスレチックは、夜になると「イルミの森」という名でライトアップされる。二人はそれを楽しみにしていた。 「取り敢えず、温泉に入ってからご飯を食べよう?」 寛人の提案に 「うん!」 と大きく満面の笑みで応えた。 二人は何十種類もある温泉に入り、食べ切れない程の美味しいキノコ料理に舌鼓を打った。 二人がアスレチックの前に戻ると… なんと、ライトアップは終わってしまっていた。入り口には「本日は終了しました」的なプレートが揺れている。 「はあ…」 えみは悲しくなった。折角二人でイルミネーションの中を、恋人みたいに歩けると思ったのに…
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