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告白
年末も差し迫ったある日、えみは友達と会っていた。友達の名前は拓海。男の子だ。拓海は32歳。えみより五つ年上で、いつも優しく話を聞いてくれる、大人な人だった。
えみは拓海が好きだった。と言っても、よくある「人間的に好き」というやつだ。ただ、拓海の方は少し違った。拓海はえみに恋愛感情を抱いていた。えみは気付いてないこともなかったが、敢えて気付かないフリをしていた。えみは拓海とはずっと友達でいたいと思っていた。自分にとって必要な人だと思っていた。
その日もいつものように楽しく飲んでいた。すると突然拓海はえみに
「実はね、好きな人が出来たんだ。」
と話し始めた。えみは
「へぇ~、良かったじゃん♪」
と言ったが、内心少し寂しかった。
「どんな人なの?」
という問いに、拓海は
「明るくて、可愛くて、他の人の気持ちが読める子」
と、照れ臭そうに、恥ずかしそうに、でもキッパリ言った。えみは内心(そんな人が出来たんだ!?)と驚いたが、少し羨ましかった。
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