迷走

4/5
前へ
/43ページ
次へ
しかし、えみは拓海がどんなに愛してくれても、自分が愛さないと意味がないのだ、という事もよく知っていた。えみは旦那様に溺愛されて結婚した。が、果たして自分も旦那様を溺愛していたか、と聞かれると、正直頷けなかった。えみは旦那様といて凄く楽だったが、楽=幸せではなかった。えみは愛されるよりも「愛したい」と思っていた。 拓海を愛せないのは、愛されているせいで、自分は楽な恋愛をしたいわけじゃなく、愛せる人を求めているからではないか?と、一人考えていた。 だがえみは、寛人が「結婚しよう」と言わない事が不安だった。「いつか捨てられるかもしれない、寛人が他の女の子に行くかもしれない…」そういう思いが湧き上がると、えみには行動する勇気も失せてしまった。 所詮寛人は年下、えみみたいなオバサンと一生一緒にいる気はない、とえみには感じられたのだった…
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加