思わぬ逆襲

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えみは、人生最初で最後の薔薇の花束を、寛人ではなく拓海にお願いした。えみは寛人が将来を約束しない事に耐えられなかった。寛人は 「嘘を付くのが嫌いだ。それに社会人は自分の言った事に責任を持たないといけないから、軽はずみな約束は出来ないよ…」 とえみに言っていた。えみは寛人のそんな気真面目なところは好きだったが、六つも年下で、これからどうなるかわからない寛人との関係の為に、自分の大事な家庭を壊すつもりなんかなかった。えみは例え本当に結婚出来なくても、寛人に「結婚したい」と言われたかった。求められたかった。 しかし、寛人は絶対にそんな事は言わなかった。えみは拓海と誕生日に会う約束をした。それは誕生日の二週間前の出来事だった。
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