75人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、リク」
「んー……?」
「リクは赤い糸って信じる?」
「赤い糸……?よく解んねぇ……あるんじゃねぇの」
「何その投げやりな台詞」
「だって、そんな見た事ないモンあるかないかなんて解る訳ないだろ?」
「……まぁ、そうだけど」
「綾音は?」
「――へ?」
「綾音は見た事あんのかよ」
「ある訳無いじゃない……けど私は赤い糸なんて信じてないから」
「ふーん、なんで?」
――ぷぅ、パチン。
いつものようにラスベリー味の甘い風船ガムを膨らませて弾けさせながらも怪訝そうに私に問い掛けてきた陸に私は答えた。
「信じられないものは信じられないのよ」
「なんだよ、それ……」
「さぁ、ね」
信じられないし
信じる気も無い
だって、もし
そんなモノがあるというのなら、なぜ私達は愛し合っているのに結ばれない運命にあるというのだろう。
「じゃあ、さ」
「ん?」
「綾音は神様って信じる?」
「神様?」
「そ、神様」
「信じる……かな」
「ふーん」
ぷぅ、パチン。
あ、またガムが弾けた。
「ふーん、って、アンタ……。アンタは……?」
「んー?」
「リクは神様を信じてんの?」
それは何げ無しに呟いた一言。
そんな私の言葉にリクが返してきた言葉。
――それは、
「……全然」
そんな淡々とした言葉だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!