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「リクは神様を信じてんの?」
何げ無しに呟かれた綾音からの一言。
そんな綾音の言葉に俺が返した言葉。
――それは、
「……全然」
そんな感情さえ篭らない淡々とした一言。
「え?」
「だーかーらー、全然信じてねぇって言ってんだよ」
あまりに俺らしくない態度だった所為か綾音は驚いたように目を見開く。
まぁ、スグいつもの冷静な綾音の表情に戻って口聞いてきたけど……。
「……ふーん、なんで?」
「なんでって、そりゃあ…………ヒミツ」
うん、秘密だ。
てか綾音に言える訳無いだろ……本当の理由なんて。
「はぁ?何それ」
「べっ、別になんだってイイだろ……信じねぇもんは信じねぇんだよ」
「……ふーん、でもソレさっきの私と同じじゃない」
「……う゛、し、しょうがないだろっ!?」
「まぁ、いいけどさ」
「……いいのかよ」
神様なんて信じない。
信じられないし
信じる気も無い
だって、もし
そんなモノがあるというのなら、なんで俺達は愛し合っているのに結ばれない運命にあるっていうんだよ。
この時の俺達は、
同じ事を思って
同じ事を考えていた。
「赤い糸なんて」
「神様なんて」
残酷で、
自分勝手で、
「「理不尽だ――…」」
(本当は真実でも偽りでも、どうでも良かったのだけれど)
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