目と目が合った、その瞬間

11/12
前へ
/63ページ
次へ
  目をつぶって痛みが来るのを待つ。     「いって!」   もちろん言ったのは俺じゃない…     声のした方を見れば、田村が捕まえていた男の腕を噛んでいた。   「田村!?」   男は咄嗟に田村を離した。     すると田村は俺の腕を掴んで走り出した。     後ろでアイツらの叫び声が聞こえたが、田村は止まることもなければ振り返ることもなく、ただ走り続けた。       しばらく走って着いたのは小さな公園。     意識はしてなかったがだいぶ走ったのだろう…   俺も田村も完全に息が上がってた。   「ハァ…田村…」   呼んでみたが返事がない。     もう一度、息を整えてから 「田村…」   また反応なし…   「ばか…」   小さくそう聞こえたと思ったら 「田中君の馬鹿!」   そう言って俺を睨む。     もちろん普通なら怖くなんてないけど、涙が溜まってるのを見たので、少し怖くなった。   『嫌われたんじゃないか…』 頭の中でそうよぎったのは言うまでもない…       .
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加