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目をつぶって痛みが来るのを待つ。
「いって!」
もちろん言ったのは俺じゃない…
声のした方を見れば、田村が捕まえていた男の腕を噛んでいた。
「田村!?」
男は咄嗟に田村を離した。
すると田村は俺の腕を掴んで走り出した。
後ろでアイツらの叫び声が聞こえたが、田村は止まることもなければ振り返ることもなく、ただ走り続けた。
しばらく走って着いたのは小さな公園。
意識はしてなかったがだいぶ走ったのだろう…
俺も田村も完全に息が上がってた。
「ハァ…田村…」
呼んでみたが返事がない。
もう一度、息を整えてから
「田村…」
また反応なし…
「ばか…」
小さくそう聞こえたと思ったら
「田中君の馬鹿!」
そう言って俺を睨む。
もちろん普通なら怖くなんてないけど、涙が溜まってるのを見たので、少し怖くなった。
『嫌われたんじゃないか…』
頭の中でそうよぎったのは言うまでもない…
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