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「僕、心配したんだから…」
「え…?」
「だって…帰ろうと思ったけど田中君の様子が変だったから一旦学校に戻ろうと思って、近道したら田中君が5人の人に囲まれてたから…だから……」
「田村…」
俺は考えるよりも先に田村を抱き締めていた。
泣いてるコイツを見てたらそうする他、なかったのだろう…
「田中、君…」
「ごめんな…心配させちまったな。」
俺の胸に顔をうずくめて小さく頷いてくれた。
「あのね…田中君。僕、頼りにならないかもしれないけど…今度からは絶対に相談してね…?」
「あぁ…わかった。」
「絶対に絶対だよ…?」
「絶対、だ。」
そう言えば田村は少しだけ顔をあげて、小さく微笑んだ。
「田中君!」
それから俺達は結局高校も一緒で、クラスも一緒。
田村は今もずっとそばにいてくれている。
まだ気持ちは伝えてないけど…きっといつかは伝えたいって思ってる。
「早くしないと遅れちゃうよ!」
「今から行くから…「早く!」
そう急かす田村を見て、俺は気付かれないように微笑んだ。
今の幸せを噛み締めて…
END
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