君といるだけで

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    「田村…?」   「へ?あ、ごめん。お金払ってこなきゃね。」   そう言うと、急いでレジの方に向かっていった。     俺は田村の背中が見えなくなると同時に、田村が見ていたウサギのぬいぐるみに視線を移した。     凄く可愛い人形だ。   女の子なんかが喜びそうな…     レジの方を見ると、そろそろ田村が戻って来そうな雰囲気だ。   「ごめん、田中君!待たせちゃったよね…」   ほら、戻ってきた。   「あー、気にすんな。そんなに待ってないし…」   「なら良かった。」   そう言って安心したように笑う、田村。     破滅的に可愛いな。   「…あ、そうだ田村。」   「どうしたの?」   「実は俺の妹もそろそろ誕生日だったりするんだ。」   「そうなの?じゃあ、僕の妹と誕生日近いんだね。」   「偶然だけどな…それでさ…」   少し言葉を濁したら、田村はきっと俺の言いたい事を感じ取ったんだろう。   「プレゼント?だったら一緒に選ぶ?」   「いや、目星は付けてるから後は買うだけなんだ。」   「このお店?」   そう聞かれて、俺は小さく頷いた。       .
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