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…カツン…
…カツン…
…カツン…
薄暗いビルとビルの間に靴音が反響している。
俺の靴音では無い。
女性のヒールの音だろうか。
俺は思わずビクッとする。
…またか?
こめかみに生暖かい汗が伝う。
振り向きたくない。
…否、恐くて振り向けないと言った方が正しいだろうか。
俺は少し足を速めた。
コツ、コツ、コツ、コツ…
……
カツンカツンカツンカツン…
俺の革靴の音を追う様に、ヒールであろう足音も歩を速めた。
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