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「半兵衛…」
秀吉は荒野に一人立つ
半兵衛の亡骸を抱きながら
そして
静かに涙を流す
その涙は
荒野に吹く風に
解けて無くなる
涙はやがて慟哭に変わる
「半兵衛…半兵衛…」
「はんべ~えっ!」
「何?秀吉…呼んだ?」
「へっ?」
何が起きたか分からない秀吉は
軽い目まいに襲われる
幻聴?
そう結論づけようとした時
「秀吉…秀吉!」
今度ははっきりと
半兵衛の声が聞こえる
ますます分からなくなる秀吉
妻のねねを
己の弱さを封じる為に
手にかけた時も
こんなに動揺はしなかった
友である半兵衛
彼の存在は秀吉の中で
消えようが無いくらい
大きくなっていた
「秀吉…秀吉!」
「ひでよし~っ!」
ふと目の前が暗くなる秀吉
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