遷移

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この政治討論のページは 実は千代が開設した。 他にもいろんな交流ページが 混在しているところだ。 最近千代は あまり顔を出さないので、 疎遠になっていたところだ。 (実は千代、 ロム専やってたりするんだよね) 『おひさです。 こだま戻りました』 『おかえり~。 おみやげは?』 『ないでーす』 みんな覚えていてくれたんだ。 よかった。 『ゆみっちはお初だよね?』 『はい』 ゆみっちって? ひょっとして弓月サン 参加してるのかな? 期待を込めて わたしは画面に釘付けになった。 『弓月です。 よろしく』 やっぱりそうだ。 でも、弓月サンのほうは すっかりこちらを 忘れているようだ。 しょうがないか。 文字では 今の自分の存在感は 出せないからね。 『お初じゃないですよ?』 ・・・・・。 あれ? 間があいてしまった。 思い出そうと してくれてるのかな? 『いつか逢ってたっけ?』 そうでも なかったようで・・・(涙) 『ひどい、 某仮想チャットで 逢ってますよ?』 『あぁ、そうだね』 『ふふ』 たぶんまだ 思い出せてないだろうなぁ。 この曖昧な文を読む限り。 『弓月サン、 政治の勉強始めたんですね』 うれしかった。 そう、 いっしょのサイトで いっしょの勉強を していることが。 『まぁ、そう』 激励を送ろう。 でも、 まわりの人に見られるのは ちょっち恥ずぃ。 確か、 特定人チャットが あったような・・・・。 これかな? 『がんばってくださいね』 『ありがとう』 その返信に、 飛び上がりたくなるような 感覚を覚えた。 会ったこともない知り合いに こうして出会えて、 お互いを理解していく。 このシャイな女性(?)に この前までの自分が投影され、 妙な親近感さえ沸いてくる。 過去ログを見返していくと、 結構前から ここに来ていたことがわかる。 だんだんと 弓月サンの意見が伸びていき、 見違えるような意見が 飛び交うようになっていた。 わたしの知らないことまで 話題に出して、 すっかり追い越されていた。
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