5696人が本棚に入れています
本棚に追加
────
「結くん、急いで~。置いてっちゃうよ~」
「あと三十秒っ」
玄関から聞こえた詩姫姉の声にそう答えつつ、顔を洗ってびしょ濡れになった顔をタオルで拭く。
鏡で見える俺は至って普通の中学──今日から高校生か……まあ、至って普通の高校生男児だ。
染めたことのないやや茶色掛かった黒髪、特徴といえばこれかな? 髪に隠れる左目。俺の左目は虹彩かなんかの異常で黄色い。それだけが俺の特徴かな?
拭き終えると同時に壁に立て掛けておいたカバンを手に持ち、玄関へ急いだ。
「遅いよ~」
「三十秒以内には来ただろ」
きっちりと扉に施錠し、学校へと歩きだした。
最初のコメントを投稿しよう!