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初めての冬…。
最近、人間があわただしく動く。同時に壁や木に電気や飾りをつけている所が増えてきた。おかげで夜が暗くないので嬉しい。
小雨がしとしと。
ウォアは、とぼとぼと真夜中の街の雑踏のすみを歩いていた。
「はぁ、お腹空いた」
そうつぶやくと同時にいい匂いがしてきた。
思わずその匂いのする方にかけ出す。
人1人やっと通れるか通れないかの狭い路地に匂いの元が…。料理屋の裏手らしい。
とりあえず腹の足しになるもの探り…
ふと脇にウォアが1匹、ぴったり入りそうな段ボール箱が…。
すぽっ!!
中は濡れてないし、なかなか快適。今夜のねぐらにすることにした。
しかし、ここでは明日の朝、ゴミと間違えられてしまうだろう。
ウォアは箱の中に少し食料を入れると、ありったけの力で箱を押した。
ずず…ずず…
小さな子猫が動かすには少し大きいか?
押したり引っ張ったりして…何とか歩道橋の下の雨が掛からない場所まで運んだ。
「ふぅ」
一つため息をついて中に入り、寝付くまでそう時間はかからなかった…。
コツコツ…コツコツ…
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