0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
寝て間もない頃…。
何か音がする…?
ウォアは段ボール箱のフタを片方だけ押し上げた。
すると、すきまから小さな緑の鳥がスイッと入って来た。
「あ……きゃー!! 猫ー!!」
勝手に入って来たくせに、鳥はジタバタ大騒ぎを始めた。
小さな箱の中は大パニック!!
「ちょ、ちょっと、鳥さん!!」
「な、何よ!!」
「そ、そんなに騒がないでよ」
「何よ。静かにさせて、あたしを食べる気ね!!」
小鳥はウォアの頭に止まり、耳をくいくいとくちばしでひっぱった。
「いたたたた…!! 僕、君を食べないよぅ。ホラ、食べ物ならあるもん」
ウォアは片隅にあるハムやパンを見せる。
「絶対食べない!?」
「食べないよ!!」
小鳥は、疑いのまなざしでじ~っとウォアの目を見つめた。
が、すぐに
「ふっ、ま、そんなマヌケ面が鳥を取れるわけないわね」
「マヌ…。まあ、いいや。信じてくれれば」
ウォアはニッコリ。小鳥はキョトンとした。
「変な黒猫…?」
その時
きゅるるる~!!
「あら、やだやだ!!」
「鳥さん、お腹すいてんだ。食べる?」
「いいの!?」
と、言い終わるや否や、そばにあったパンをつつき始めた。
「ね、鳥さんの名前は? 僕、ウォア」
「あんた、飼い猫?」
「ううん」
「じゃ、なんで名前なんてあるのよ?」
「僕が僕でいるために」
「はぁ? あたしはね、セキセイインコって呼ばれてる鳥よ。前に人に飼われてたけど、戸が開いてた時に出てきちゃった。名前なんて覚えてないわ」
「じゃあ、なんて呼べばいいの? “鳥さん”でいい?」
「なんでもいいわよ」
「じゃ、そうする」
突然、ウォアはさっき暴れた時に抜けた小鳥の羽をかき集め始めた。
「鳥さんの羽、いっぱい取れちゃったね」
「いーわよ、また生えるもの。そんなの集めてどーすんの?」
ウォアはニコリと微笑むと、集めて山になった羽の上にぽふっ…
「うわぁい。気持ちい」
「くすっ。枕にしたんだ」
「じゃあ、鳥さんは僕の毛の中にどうぞ」
小鳥は喜んでウォアの冬毛の腕の中に入った。
「わぁ。あったかぁい」
「うん」
話す間もなく2匹は心地良い眠りに落ちた…。
―イッショ ダト アッタカイ ネ―
最初のコメントを投稿しよう!