【聖夜】

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 寝て間もない頃…。   何か音がする…?   ウォアは段ボール箱のフタを片方だけ押し上げた。 すると、すきまから小さな緑の鳥がスイッと入って来た。 「あ……きゃー!! 猫ー!!」 勝手に入って来たくせに、鳥はジタバタ大騒ぎを始めた。   小さな箱の中は大パニック!! 「ちょ、ちょっと、鳥さん!!」 「な、何よ!!」 「そ、そんなに騒がないでよ」 「何よ。静かにさせて、あたしを食べる気ね!!」 小鳥はウォアの頭に止まり、耳をくいくいとくちばしでひっぱった。 「いたたたた…!! 僕、君を食べないよぅ。ホラ、食べ物ならあるもん」 ウォアは片隅にあるハムやパンを見せる。 「絶対食べない!?」 「食べないよ!!」 小鳥は、疑いのまなざしでじ~っとウォアの目を見つめた。   が、すぐに 「ふっ、ま、そんなマヌケ面が鳥を取れるわけないわね」 「マヌ…。まあ、いいや。信じてくれれば」 ウォアはニッコリ。小鳥はキョトンとした。 「変な黒猫…?」 その時    きゅるるる~!!   「あら、やだやだ!!」 「鳥さん、お腹すいてんだ。食べる?」 「いいの!?」 と、言い終わるや否や、そばにあったパンをつつき始めた。 「ね、鳥さんの名前は? 僕、ウォア」 「あんた、飼い猫?」 「ううん」 「じゃ、なんで名前なんてあるのよ?」 「僕が僕でいるために」 「はぁ? あたしはね、セキセイインコって呼ばれてる鳥よ。前に人に飼われてたけど、戸が開いてた時に出てきちゃった。名前なんて覚えてないわ」 「じゃあ、なんて呼べばいいの? “鳥さん”でいい?」 「なんでもいいわよ」 「じゃ、そうする」 突然、ウォアはさっき暴れた時に抜けた小鳥の羽をかき集め始めた。 「鳥さんの羽、いっぱい取れちゃったね」 「いーわよ、また生えるもの。そんなの集めてどーすんの?」 ウォアはニコリと微笑むと、集めて山になった羽の上にぽふっ… 「うわぁい。気持ちい」 「くすっ。枕にしたんだ」 「じゃあ、鳥さんは僕の毛の中にどうぞ」 小鳥は喜んでウォアの冬毛の腕の中に入った。 「わぁ。あったかぁい」 「うん」 話す間もなく2匹は心地良い眠りに落ちた…。     ―イッショ ダト アッタカイ ネ―  
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