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――――「はぁ、はぁ………強い、強すぎる!」
「さすがでござるな………“勇者”の称号は伊達じゃない。」
カケルとギンは息を切らして背中合わせに座った。
ホコリが舞う戦場に、“勇者”の強さを直に感じていた。
穏やかな紳士の声が響く。
「ハッハッハ。君達の実力はそんなものかい?
カケル君。ギン君。」
余裕たっぷりの“勇者”の声に腹を立てるカケル。
「くそっ!―――でも今行ったら間違いなく返り討ちだッ!!」
「カケル殿………。」
神妙な面持ちでギンが呟く。
「どうした?ギン」
「拙者………カケル殿に出会えて、本当に良かったでござる。」
ギンは力無く微笑む。
カケルの頭には嫌な予感がよぎった。
「おい………早まるな!!ギン!二人で勝とう!この戦い!」
「無理でござる………。
拙者が突っ込むでござる。隙を作るから………後はカケル殿に任せたでござるよ。」
「嘘だろ………。お前が犠牲になるってコトかよ!!」
「話し合いは終わったかね?諸君。」
“勇者”の声が再び。
ギンは力強い瞳でカケルを見ると、
勢い良く“勇者”に向かい飛込んだ。
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