第1話 “勇者”の事情

8/42
前へ
/416ページ
次へ
「勿論!シドさんにリベンジを―――」 「違うわよ~。私はそんなコト聞いてないわ♪」 カケルとギンは“勇者”にリベンジをしようとしていたらしく、瞳の奥が燃えていた。 「違うって?」 「ハァ~………。水の都にもアルシェちゃんの記憶の手掛りが無いのよ? ―――次はどこに行くの?」 カケルはビビにそう言われると、目をパチクリさせる。 そして呟く。 「そういや………考えてなかった………。」 「しっかりして下さいよ!カケル!」 呆れて果てたアルシェが文句を。 「そうでござる!カケル殿!」 ギンも文句。 つーか、お前もしてたよね?枕投げ。 「全くだぞ。カケル君、それでも英雄『ガントレット』の二代目かい?」 ギンの隣の“勇者”も文句。 …………ん?勇者? 「って、シドさん!? いつの間に!?」 ギンの隣には、いつの間にかコーヒーを優雅にたしなむ“勇者”シドがいた。 「ん?君達が私にリベンジを考えている時くらいには、コーヒーを頼んでいたよ。」 そして、紳士の笑顔。 カケルとギンの笑顔はひきつっていた。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1275人が本棚に入れています
本棚に追加