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「任せろって俺達によ!
お前は指くわえて見てな。」
仲間は黒づくめの男へと近づいて行く。
止めろって!
なんて、大声で叫べる訳もなく。
黙って見ているだけで………。
とうとう、二人は黒づくめの男と接触した。
「お兄さん!お兄さん!
………ちょいと金を貸してくれないかな?」
「そうなんだよ………。
俺達ァ、腹ペコペコでよォ………。」
プロの山賊のテクニック。
同情誘って、隙を見つけたら一気に剥ぐ。
二人の演技は相変わらず上手い。
黒づくめの男は立ち止まり、二人を見下ろす。
「なぁ、頼むよ………早く山を降りないと家族が………。」
「俺も恋人が待ってんだ………頼むよォ。」
「……………。」
「あんたも同じ人間だろう?
頼むよ。」
「同情でいい!
同情でいいから頼むよォ!」
上手いな。ホント演技。
泣きすがる二人を見て、心から感心。
しかし、黒づくめの男は黙ったまま。
「なぁ。あんた。貴族の身なりだしよ。」
「そうそう!
………ホント、一銭でもいいから!」
「……………。」
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