闇を纏いし者

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「何か………こいつ気持ち悪い……。」 「ああ………。どうする?脅すか?」  二人は小声で話し合うと、同時に頷く。 俺は黙って見ているコトしかできなかった。 鈍く輝くナイフを取り出す。 「悪いな、お兄さん。 有り金、全部出してもらおうか?」 「あと、その高貴なマントもな。」 同情を誘う手段から脅しに入る。 それでも黒づくめの男は動じない。 「我は、“闇” 我は、“絶望” 我は………“恐怖”」 俺の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。 殺気でも、憎悪でもない。 この感覚は………“恐怖” 「うるせぇ!早く金を出せぇッ!!殺すぞ!!」 二人は嫌な汗をびっしょりとかいている。 二人もこの“恐怖”を味わっているのだろう。 「うわぁあああああ!!!!」 一人が恐怖に耐えられなく、ナイフを振り上げた。 明らかに状況が変わった。 仲間の動きが止まる。 歯をガチガチと震わせる。 「う、動けない?何でだ!?」 「体が………重い………?」 「恐怖に駆られよ。 闇に召されよ。」 黒づくめの男は仲間二人に手をかざす。
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