別れへの…

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大将は“適当”という行動…って言うより言葉を嫌う 理由はお父さんだ 大将のお父さんは葉山ガレージと言う車屋さんを経営している 車屋さんとは言っても自営業の小さな中古車屋さんだ 詳しくは難しくてわからないけど古くなった車を買い取って直して売ったりしているらしい… ―そのお父さん…将吾(しょうご)さんが適当と言うことに関しとても厳しいからだ その理由は『経営者だから』だそうだ 将吾さんの事も昔から知っている お父さんのいない俺のことも良く構ってくれた その時に聞かされたことがある 会社を経営するからには例え自営業だからといって適当な真似は出来ない 普通の仕事だって同じだ と、言うことらしい その時はよく理解できなかったけど今なら少しはわかる… 信用されたりするには適当じゃいけないって事だと思う 「…別に簡単に考えてるわけじゃないよ」 俺は考えがなかなかまとまらないとつい“適当”という言葉を使ってしまう それを将吾さんを慕う大将は嫌う まあ将吾さんの場合は行動であり言葉ではない まだ子供である俺たちはその意味を良く理解していないので言葉に反応しているだけかもしれないけど 実際、適当に“適当”と答えてしまったから適当ではあるかもしれないけど宿題の事はいろいろ考えていた ただやはり癖というのはなかなか直らない 「ならいいんだけどさ…でも」 「適当は自分にとっても周りの人にとっても良くない」 これは葉山家の家訓みたいなもので将吾さんはよくいっている 「…だろ?」
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