ハロウィンの告白

3/3
前へ
/8ページ
次へ
「わ~、可愛いねぇ」なんて女子のキャピキャピした声や「お前馬鹿じゃねぇの~?」って男子の声やら、あいつの周りには自然と人が集まっていた。 「あいつってさ、本当に男女問わずモテモテだよなぁ」 親友があいつの様子を見ながら、呟く。 「あんだけ外面良けりゃあモテるだろ」 親友にそう告げて、俺はひたすらペンを走らせた。 親友の宿題を丸写しするという作業に集中してるふりをして、内心は後ろを気にしてる。 気づいたらあいつに惚れていた。 だから、逆に興味がないふりをする。 ホモじゃなかったはずなのに、男を好きになったなんてあまりにもバカバカしい。 生粋のノーマルのあいつが、俺の気持ちを受け入れるはずもない。 「お前冷めてんだねぇ。あ、あいつがこっちにきた」 あいつは社交的なやつだ。クラス全員にでも声をかけるつもりなのか。 「なぁ、Trick or treat♪」 俺の肩を叩いたあいつは、そうにこやかに言ってきた。 「菓子なんかねぇよ」 甘い物が好きな俺は、机の中に本当はいつも飴を入れている。 でも、あえてそう答えた。 「残念だなぁ。お菓子欲しかったのに」 ちっとも残念そうに感じない言い方をする奴だ。 そんな奴に、俺はむしろ言いたくなった。 「なぁ、俺からも言っていい?」 「ん? 何を?」 キョトンとする顔に向かって、俺はニヤリと言った。 「Kiss or treat. 本気で言ってんだからな?」 ハロウィンにかけた告白。 お前は一体どう返す?  
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加