3人が本棚に入れています
本棚に追加
僕と彼女はベンチに腰掛けた。
「そんな事よりさ、聞きたい事があるんだ」
彼女はぼんやりと空を眺めながらそう言った。
「おぉ、なんなりと」
僕が少しおどけてそう言うと、彼女は楽しそうに話を続けた。
「明日世界が終わっちゃうなら、最後に何が食べたい?」
相変わらず彼女は楽しそうだ。
彼女が楽しそうだと僕も楽しい。
「んー…口の中でとろける超高級お寿司かな」
「うわ、ベタだね」
僕と彼女は顔を見合わせて同時に笑った。
「お前の手料理…とか言ってくれるって期待したのになー」
彼女はそう言うとまた空を眺め始めた。
彼女の手料理なんて毎日食べてるけど、僕は少し失敗したかなと思った。
いつもとは違う大事な日なのに、どうしてもいつもと変わらない日常になってしまう。
「そろそろ帰ろっか」
彼女がベンチから立ち上がった。
少し遅れて僕も立ち上がる。
手を繋いで帰るべき場所へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!