特別

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僕と彼女はベンチに腰掛けた。 「そんな事よりさ、聞きたい事があるんだ」 彼女はぼんやりと空を眺めながらそう言った。 「おぉ、なんなりと」 僕が少しおどけてそう言うと、彼女は楽しそうに話を続けた。 「明日世界が終わっちゃうなら、最後に何が食べたい?」 相変わらず彼女は楽しそうだ。 彼女が楽しそうだと僕も楽しい。 「んー…口の中でとろける超高級お寿司かな」 「うわ、ベタだね」 僕と彼女は顔を見合わせて同時に笑った。 「お前の手料理…とか言ってくれるって期待したのになー」 彼女はそう言うとまた空を眺め始めた。 彼女の手料理なんて毎日食べてるけど、僕は少し失敗したかなと思った。 いつもとは違う大事な日なのに、どうしてもいつもと変わらない日常になってしまう。 「そろそろ帰ろっか」 彼女がベンチから立ち上がった。 少し遅れて僕も立ち上がる。 手を繋いで帰るべき場所へ向かった。
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