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【~毬娃~】
私が臨める風景は、灰色一色に纏められた部屋。
灰色の家具達は、あまりに無機質で冷たい雰囲気を醸し出す……。
この部屋は私が作ったわけではない。
私が望んだわけではない。
私の瞳が犯した罪の念を持たせるためだけに作られた『Gray Prison』……、灰色の監獄。
『怪物』として創られた私……。
地獄に運ばれきた死霊が増えすぎた天界では、どうやって死霊の数を減らすか考えられ、研究がなされていた。
そこで考えられたのが『メデューサの瞳』。
死霊を石化し、壊して、地獄の土にしようというもの。
ただ、『メデューサの瞳』には本体になる『メデューサ』が必要……。
その『メデューサ』にさせられたのが私だった。
とはいえ、それを知ったのは『メデューサの瞳』を開発しようとした研究所が閉鎖されてから。
何故、閉鎖されたのかは私にはわからない。
気づいたときには、私の周りには石像が立っていただけだったからだ。
テーブルに置いたロシアンティをすすりながら、目を開く。
麻里亜と同調をはじめてから一月経つ。
麻里亜が寝てしまえば、私の視界に映るのは虚無感に満ちた部屋のみ。
その間は、物思いに更ける以外ないのだ……。
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