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私は自分の家から出たことがない。
出たことがないと言うより、出たいと思わなかった。
窓から望む風景は、緑一色と言うべきか長閑な山や川があり、緩やかな風にその小さな葉を揺らしている。
言葉を覚えるため読み明かした本は、今では興味が沸かないでいた。
代わりにこの家の外にある絵本のような世界がどうなっているか知りたくて、私は小さくため息を吐いてばかり。
外に出てみたい。
おじいちゃん以外の人がいるのか知りたい。
欲のようなものが沸き上がってきて、私は窓の縁から離れ、自分の部屋を後にした。
短い廊下を渡り、居間に向かう。
おじいちゃんは窓辺に椅子に腰をかけ眠っている。
それを確認すると、気づかれないように忍び足で玄関へ向かうことにした。
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