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玄関から先に広がる未知の領域。
今までの私の世界は、カプセルとこの家の中のみ。
少なからず、自分の狭い世界から抜け出したいという気持ちがあって、私は何も告げず、家から飛び出してしまった。
緑に染まる原っぱを裸足で駆けていた。
今まで、閉鎖的な場所にしかいなかったため、目に入る風景に変わりがなかった。
だけど、家から出てみると見たことのない色や音で溢れ、全てが輝いて見えた。
真っ青な空に、ふわふわっとした白い雲。
その下には、大小様々の山があって、その中腹にぽつぽつと赤茶色の家が並んでいた。
風が耳を掠めていく。
上がる鼓動をそのままに、丘へ向かって行く。
そして、小さな岩が頭を出すところまで来るとそこによじ登り、下を見下ろした。
緑の草原に、色とりどりの家や風車が並び、川が蛇の如く蛇行しているのがわかる。
斑にいる羊や牛も、この長閑な雰囲気を満喫しているようだった。
「わぁ~……っ! 綺麗!」
しばらく、街並みや風景を瞳に焼きつける。
ある程度満喫すると、私は踵を返し、更に丘の上へ目指すことにした。
足の裏で若い草の感触を確かめながら駆け上がる。
次に何が見れるのか、それが楽しみで胸が弾む。
立ち並ぶ木々が増えるのすら気づかないほどに、私は目の前に広がる新しい世界に酔いしれていた。
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