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潔癖
休み時間、クラスの女子の彼氏に関する話題が聞くともなく聞こえてきたので気分が頗る悪くなった。
気持ち悪い。
何か…こう、口の中や頭の中や耳の中に雑菌が湧いた気がして、居ても立ってもいられなくなり屋上へ行く。
煙草に火を点けて深く喫み込んで、吐いた。
非喫煙者はよく、煙を吸ったまま吐かなければ私達に害がないのに、とか嫌みを垂れるが吐かないでいれるものなら吐かないでいたい。
取り敢えず私達人間は喫煙非喫煙に関わらず肺を通して呼吸をするのだからどちらにせよ煙は体外へ出るのだ。
まぁそんな下らない事を考えるよりまず除菌だ。煙で菌という菌を燻してなくすのだ。クラスの女子の話を聞いて湧いた菌も燻して殺せ。除菌だ。
知らない内に携帯灰皿にはもみ消された煙草で一杯になっていた。
「学校で喫煙すんなよ」
苦笑気味で屋上に入ってきたのは隣のクラスの及川亜紀だった。
「うっせ。別に誰にも迷惑かけてないしうちの高校緩いしいんじゃね」
「バレたら停学ですよ」
「そんときゃそんときだ」
「男らしい事で」
「私は女だけど」
「例えだバカヤロー」
クスクスと笑い合ってやがて声を出して笑う。
なんて事ない会話だが亜紀と話してると菌は湧かないし心地よかった。
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