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家の2階からのびた木に飛びうつりそこからしたの草の上に降りたアルは、村が見渡せる丘の上にきていた。
「カイン……お前もきてたのか。」
俺は草むらに寝転んでるカインに声をかけた。
「アルもね。来ると思ったけどね。今日だし。」
カインは空の満月をみながら俺に言う。
「ああ…今日は満月だからな…」
「ねぇ…アル、今日の満月は赤いね。真っ赤だ…
僕が生まれた日もこんな満月だったんだって…」
暗くて見えないけど…
紅い満月をみて、カインが泣きそうな顔してると思った。
「叔母さんが言ったのか?」
カインは哀しそうに頷いた。
カインは両親をはやくに亡くし、母方の妹夫婦に引き取られたのだ。
叔母さんもカインに気をつかっているが、ぎこちなく、カインは叔母さんの家で孤立していた。
「叔母さんは母さんとはあまり仲良くなかったから…僕のこともよく思ってないんだ。
ねぇ………………………アル、僕はいらないのかな?邪魔なのかな?」
カインは泣きそうな声で言った。
俺は「そんなことない」って言えなかった。
そう言って何か返されたら応えられる自信がなかったし、否定できないほど叔母さんがカインを嫌ってるのは子供の俺でもわかっていた。
「…」
俺がなにを言おうか迷ってるとわかったのかカインは小さく笑って、また寝転んだ。
俺も、言葉が見つからないのでカインの横に寝転んだ。
…
…
…
焦げ臭い匂いがした。
いつの間にか眠っていた俺は目をあけて焦げた匂いがする方をみた。
村が炎に包まれていた。
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