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だがしかし、遊びに行くのと、それとは別の話であって、俺が古谷の家に行くかと言えば、
「行かない」
その一言につきた。
はっきり言ってコイツの家は俺の家から徒歩20分の位置に存在していて、遠い。
そこまでして行くほどの価値がコイツの家にあるか?
答えは皆無だ。
という訳で俺は、だんまりを決めたまま歩いている。
「おいタカ。冷てぇなぁ」
「……」
「コーラ奢るからさぁ」
その単語にピクンと反応してしまう。
そこら辺の素直さがまだ中学生だという証だろうか。
俺は足を止めて、静かに呟く。
「…2本な」
古谷はその反応を既に予測していたかのように、ニンマリと笑って頷いた。
一応断っておくが、古谷の家に行きたいから、コーラ2本という破格の金額で折れた訳では決してない。
コーラは俺のエネルギー源なのだ。
だからコーラの為なら、何だってするし、古谷の家にだって行く。
「昔、有名なプロレスラーも言っていたっけな…。"コーラがあれば何でも出来る"って」
「いや無理だろ。しかも結構最近の言葉だからな、それ」
「そういう訳で、俺は古谷の家に嫌々向かうことにしたのだった」
「お前さっきから時々考えてる事が口から洩れてるよ?しかも、その"嫌々"っての止めてくんない?泣きたくなるんだけど」
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