プロローグ

3/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
だがしかし、遊びに行くのと、それとは別の話であって、俺が古谷の家に行くかと言えば、 「行かない」 その一言につきた。 はっきり言ってコイツの家は俺の家から徒歩20分の位置に存在していて、遠い。 そこまでして行くほどの価値がコイツの家にあるか? 答えは皆無だ。 という訳で俺は、だんまりを決めたまま歩いている。 「おいタカ。冷てぇなぁ」 「……」 「コーラ奢るからさぁ」 その単語にピクンと反応してしまう。 そこら辺の素直さがまだ中学生だという証だろうか。 俺は足を止めて、静かに呟く。 「…2本な」 古谷はその反応を既に予測していたかのように、ニンマリと笑って頷いた。 一応断っておくが、古谷の家に行きたいから、コーラ2本という破格の金額で折れた訳では決してない。 コーラは俺のエネルギー源なのだ。 だからコーラの為なら、何だってするし、古谷の家にだって行く。 「昔、有名なプロレスラーも言っていたっけな…。"コーラがあれば何でも出来る"って」 「いや無理だろ。しかも結構最近の言葉だからな、それ」 「そういう訳で、俺は古谷の家に嫌々向かうことにしたのだった」 「お前さっきから時々考えてる事が口から洩れてるよ?しかも、その"嫌々"っての止めてくんない?泣きたくなるんだけど」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!