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古谷の親父は市役所に勤めている。
よって、家はなかなかのものだった。
「相変わらず無駄に広いな」
俺は玄関に入って天井を眺める。
二階と吹き抜けなので、余計広く見えてしまう。
「そうか?ただ敷地が余ってただけだよ」
古谷はヘラヘラ笑って、脱いだ靴を整える。
そういやコイツの親父は町内でも頑固者で有名なんだっけか。
俺も慌てて靴を正そうとしたら、古谷が気を利かせてやってくれた。
「大丈夫だよ。親父は今、出勤中だ」
ほっと息が洩れる。
古谷の親父には、ガキの頃に壺を割ってしまい、顔が腫れる程ぶん殴られた経験があり、大の苦手だ。
まぁ俺が家の中でラグビーやってたのが悪いんだけどさ。
そういう訳で、俺は古谷の家では自分勝手出来ないのだ。
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