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「おい古谷。このハンバーグイマイチだな」
あまり中まで味が染み込んでいない。
これでは俺を唸らせる程の料理とは程遠い。
そう思いながら、俺は手元に置いてあったナプキンで、口を拭う。
「って何食べてんだよ!」
「え?コレおやつじゃねぇの?」
「どこの家庭に、おやつにハンバーグを出す親がいますか?!
ココに『遅くなるから、夕飯にハンバーグを置いて行きます。温めて食べてね』って書き置きしてあるじゃん!」
古谷がテーブルの上にあった紙切れを突き出して来た。
確かにそう書いてあるように見えなくもない。
「あ、それ書き置きだったの?処理したちぢれ毛かと思った」
「普通、テーブルの上で処理するかッ!」
「確かにその字は処理したちぢれ毛に見えなくもない」
「見えるかァ!平仮名から学び直してこい!」
実際、古谷の母親は書道2段だか3段の持ち主なので、見間違えたのは嘘だ。
勿論はっきりくっきり見えていたさ。
しかしそれでも、やらなきゃいけない時ってのが男にはあるもんなんだ。
なぁそうだろ?
とか言って本当は、ただ腹が減ってただけなんだがな。
まぁ流石にちょっと俺が悪かったかな。
俺は古谷の肩をポンと優しく叩いてから、口を開いた。
「コーラは冷蔵庫の中か?」
「帰れ!」
古谷は泣きそうな顔で叫んだ。
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