涙の止め方

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「いきなり泣き出すバカに誰が優しくするかっ」 「バカって言ったあーっ」  わんわん、店員は耳をふさぐ。鼻水が垂れた。私は鞄からティッシュを取り出そうと探す。しかし、見つからない。 「どうぞ」  優しい声がして、鞄から目を離す。薄い色素の髪が見えた。 「顔、ぐちゃぐちゃですよ」  くすっと笑われ、途端に恥ずかしさが押し寄せる。 「……あ」 「どうぞお使いください」  はっと差し出されていた白いハンカチに気づく。 「ありがとう、ございます」  素直に受け取り、鼻をかむ。ちーんっ。 「うっわ」  意地悪な店員の、汚いものでも見るかの声。鼻水をすっきりさせ、ハンカチを畳む。 「……洗って返します」  そっと鞄に入れた。 「いいよ、あげる」
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