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「……はっ」
カランコロンという音色に、店長はばちっと目を開く。
「起きた」
んーっと伸びをして、周りを見る。花子が出て行ったのを見計らってタクちゃんが裏から出てくる。
「お前ら何ボーっとしてんだ、早く働け」
さっきまでとは打って変わった、厳しい声。俺は止まっていた手を動かした。
「ハムちゃん」
店長はひげを撫でる。何すかそのうっとりとした顔。気持ち悪い。
「……さっきのあれ」
うへえと顔を歪めて、タクちゃんを見る。
「いつものことでしょ」
タクちゃんは、気にせずナプキンを整えている。
「店長の寝ぼけは厄介」
改めて感じた。
「なにこの小銭」
首を傾げている店長に、カフェオレ代です、とつぶやいた。
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