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第一話
俺は田中浩介(16)
。
どこにでもいるような普通の高校生だ。
勉強、スポーツまるで駄目。
ゲームだっていつも負けてばかり。
良いとこなんかまるで無い。
それなのにこの人生、良いとこが一つでも無ければ認められ無いのだから残酷である。
嫌な世の中になったといつも思う。
(ハア~……人の心が読めたら幸せだろうな…)
ふと思った。
根拠なんて無い。
甘い期待と言って良い。
でも人の心が読めれば、格闘ゲームでは無敵だし、トランプを使ったマジックだって出来る。
それに一躍有名人に成り上がるし良いことばっかじゃんなどと思った。
単に強欲な思いの集合ではあったが、このすさんだ人生を少しでも幸せにするのも良いんじゃないかと思えて頭の中で幸せを創造してしまう。
(あ~あ読心術が使えればな~)
「本当に…そう思うの…?」
(え……?)
「今、あなたは読心術が使えればなって思っていた。」
彼女はオルゴールを鳴らしながら言った。
「何で!?何で俺の考えてる事が分かんの!?」
「読心術……あなたがついさっき思っていたでしょ?」
(確かにそうだけど…)
「私は茜…人間の欲しがる力を与え…そして罰を与える者。」
「罰……?」
「力を欲しがる愚かな人間に実際に力を与えて自分の愚かさを知らしめさせる。それが私の力、私の存在する理由。」
(いや、愚かさなんてわかる筈無いだろ。)
少なからずだが自信があった。
(愚かな人間……そう言って自信を持って力を得た人間は皆愚かさを知り死んでいった。
このオルゴールの音ともに……。)
「力をくれ!俺に読心術の力を!」
「ふふ……これからどうなるか……楽しみ……。」
そう言って茜が浩介を指差した瞬間に……浩介を光が包んだ。
「さあ……物語の始まり……。」
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