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第四話
田中浩介の人気は瞬く間に広がった。
俺は人生の勝ち組なんだ。
あんなすさんだ人生を送って来た俺が、今ではこんなにもTVの出演依頼が殺到する程の有名人になったのだ。
もうあの頃とは違う。
車で学校に向かうと言うのも悪くない。
部下に関しても俺に憎しみを感じている奴は即解雇して安全性を維持していた。
「よ!浩介」
こいつは山村茂(17)普段はあまり話かけて来ない奴なので怪しい。
(金持ちと仲良くなっておいて損は無い)
俺は茂を通り過ぎた。
先生達も、俺を見るなりお辞儀をして笑顔を作った。
(金のため金のため)
俺はまた何も言わずに通り過ぎた。
金や欲望のためだけに俺に話しかけてくる奴なら何人でもいるだろう。
でも実際、本当に本気で俺自信を友達だなんて思ってくれる奴なんていやしない。
実際人の心の中なんて残酷な物だ。
誰にも知られないと分かっている筈だから、すぐに酷い悪口や妬みなどを思い浮かべる。
心の中ではどんな人だって思い通りに動かせる。
だけど今の俺にはそれすら分かる。
(あいつウゼぇな……)
(山村君大好き)
(あの先生五月蝿いんだよな)
(げっ……宿題忘れた)
手に取るように分かる。
考えてる事が分かるというのも、少今こうして、俺が覚えた孤独は、浩介を包んで、少しだけ後悔すら感じた。
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