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最終回
田中浩介の人気は確かに高まっていった。
多量の資金に多量の栄光を掴んだ。
しかしその力を知ってか、人はいつしか浩介から離れていくようになった。
(こいつに近付くと心読まれる。)
(こいつの前じゃ考え事もできやしない。)
(ヤベ………離れよ……。)
いつの間にか俺は孤独さえ感じていた。幼なじみの絵梨すら俺を離れていく。
もはや俺に頼れる人間などいないのかもしれない。
こんな力が有るから?
最初の俺は力が欲しかった。
地味な自分を目立たせたかった。
それだけなのに……。
でも実際には人の心が読めて続く幸せなんて無かった。
読めない方が幸せなんだ。
昔の俺はそれが分からなかったんだ。
自分の愚かさを知った。
もう……今の俺に生きる意味なんて無い。
そう言って飛び降りた。
これで良かったんだ……これで………。その時確かに俺は、確かに自分の愚かさを知った。
力を求める事の無意味さも、読心術の無意味さも。
それが、最初から分かっていたら、こん事にはならなかったのに。
オルゴール………?
「今日高校生の田中浩介さん17才が公園で死んでいるのが見つかりました。
現在調査中ですが死因は分かっておらず、現在は死因の解明に急いでいるとのことです。」
「また一人死んだ…。
罰は与えた……。
あなたは死んだの。私の本当の力……それは夢を見せること。
永遠の眠りの中でのね……。
もしもあなたの心がもっと強かったら……死ななくてすんだのに……。
それなのに……。
死んでも何も残らないのに……でも生きていたって、人はいずれ死ぬ。
……だから捨てた命に意味はあったのだろうか?
所詮私もただの人殺しに過ぎない。
自分さえも殺めてしまったのだから……。」
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