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「煉、そんな怖い顔をしないで」
俺の眉間に寄る皺に人差し指を当て、微笑んだ。
眉間に皺も寄るだろうさ・・・・。
「医者やってたんじゃないの?」
あっ。
「ふふ。やっと昔の煉に戻ったね・・・・」
しまったと思ったけど、遅かった。
・・・・敬語崩しちゃったよ。
「・・・・別に」
不貞腐れてみても、謐サンは微笑むだけ。
「クス。ちゃんと本業は医者だよ、安心して?それに、ドイツ行くときに、母さん方の実家には行かないと誓約してるから」
「えっ?」
謐サンの母方の実家・・・・??
「母さんの実家はマフィアだからね、戻るんじゃないかと姉さんが心配して」
「母さんは謐サンのことを溺愛してたよね・・・・」
息子の俺が見ていて、飽きれるくらい・・・・。
当時のことを思い出していると、俺の顔を謐サンが触っていた。
「・・・・姉さんそっくり」
愛しい者を見つめるような眼差し。
優しさで満ちていた。
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