交錯する想い

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「謐サン、家に帰りたい」 「淋しいから一緒にドイツ行こう?」 外の景色は、家並みがだんだんと間隔が開いていき、国道の標識に飛行機マークが見えた。  話が噛み合ってない・・・・。  「・・・・」 「この人達は借りてきたんだ。愛人のヤクザから」 「あ、愛人!?」 ぽっかーん。  謐サン、貴方は家を出てから何があったんですか・・・・。  ルックス良いし、恋人の一人や二人いてもおかしくないけどさ。  いや、この人が笑うだけで相手が落ちるであろう威力はあると思うけど。  「驚いた?軽蔑する?」 「・・・・いや、っていうか、苦しくない?」 「・・・・・・優しいなあ、日本から連れ去ろうとしているのに。それでも心配してくれるの?」 「それは困る。学校はサボれないッ」 「・・・・雪成もいるから?」 「それは」 雪成との関係を知ってるのか・・・・。  「煉が大人になるのを俺はずーっと待っていたのに。まさか雪成に持っていかれるなんてね」 自嘲気味に笑い、青い瞳からまた何も読み取れなくなった。  謐サンは・・・・。 俺の事を好きだったのか。 「謐サン、ドイツには一緒に行けないよ・・・・夏休みに入ったら行くから」 「俺はね、煉が好きなんだよ。帰国した夜、煉の家の前で雪成と手を繋いでいるのを見たときは、ショックで・・・・」 「・・・・雪成以外とは付き合えない」 「そう言うと思ったよ。だから・・・・」 「んんッ!?」 一瞬だった。  ハンカチを口に押さえられて、俺は気を失った。  「ごめんね、煉。でもどうしても欲しいんだ、君が」
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