俺にはお前だけ

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謐叔父サンと会うのは、かなり久しぶりだった。  スタイリッシュなスーツに、流れるような艶のある黒髪。  サングラス越しに見える碧眼は見た者の目を奪う。  「・・・・久しぶりだね、姉さん達に会うの」 少し高めのハスキーボイスは媚びるわけでもなければ親しみも感じられないトーンだった。  「まあ、あんたが留学してからは暫く会ってなかったわね。ところで、煉は?」 母さんの苛立ちが言葉の端々に感じられた。 「煉なら、車の中で寝てるよ。ただ、ロックがかかってるけどね」 「あんた、自分がしたこと分かっているのッ!?」 冷静過ぎる謐叔父サンに対して今まで沈黙していた音歌サンの怒りが爆発した。
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