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カーテンを開けて、外を見ると信じられない光景が広がっていた。
「・・・・あの馬鹿ッ、なにしてッ!!」
車の外に飛び出し、雪成の方へ走った。
「雪成、やめろ!!!」
俺の声に気付いた雪成と目が合い、雪成が微笑んだ。
だめだ!間に合わない!!距離にすれば後五メートル。
走りながら、雪成が持つピストルからカチンッと引き金を引く音が聞こえた。
その直後俺は雪成からピストルを取り上げた。
「持つ、なッて、言っ、ただろッ?!」
ズキンズキンと痛みを増す頭と悲鳴を上げる心臓。
「煉、大丈夫なの?」
雪成はどこか異常はないか、俺の体を触り確認しようとした。
その腕を自分の方へ引き寄せて抱き締めた。
「命を粗末にするな!!」
俺の体は、震えていた。
ピストルの引き金を引く前に届かなかったから。
雪成が引き金を引いてしまった瞬間に、全身の血の気が引いていくのを感じた。
・・・・本当に怖かった。
「・・・・ごめん」
小さな消え入りそうな声が胸の中から聞こえた。
「良かった、生きてて」
雪成から腕を放し、謐サンの方へ向き直った。
「・・・・本当に好きなんだね・・・・雪成の事」
涙こそ流していないものの、声に力は無く、碧い瞳は翳りを帯びていた。
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