俺にはお前だけ

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口は笑っているけど顔が笑ってない!!マジじゃん!!  「雪成、落ち着けーーー!」 振り下ろされる木刀の切っ先から逃れるべく、俺は駆け出した。 「俺はいつだって冷静に狙ってるよ!!」 すぐ後ろから聞こえてくる雪成の声が殺意めいているような気がするのは気のせいなのか!?  「質が悪いわッ!!!」 仇敵かなにかのような狙い方。 好きだと言いながら、木刀を振り回す。  矛盾だらけだ。 たまには受けとめてみるか。   立ち止まり、振り返ると雪成がまさに木刀を振り下ろそうとしていた。  「雪成、大好きだ!!」  ピタリと動きが止まる。  そして、雪成の顔が火を噴いたように赤くなった。  「なッ、狡い!!」  有効だったみたいだな、この攻撃。  明日も敵な雪成に試してみようか。  ずっと続くであろう、この攻防戦。  雪成が敵じゃなくなる日も近いに違いない。  “終“
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