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スカイラインを半分くらい上がった所に駐車場があった。
「さぁここから歩くよ」
田辺さんがコンビニの袋を持って、2人並んで歩き出した。
「へぇ…ここから遊歩道になってるんだ」
「俺も少し前に知ったんだけどね。
緩やかな坂道を登っていくと
眺めのいい展望台があるんだ」
私は歩きながら携帯を取り出した。
幼稚園の歩美が熱を出したとかの着信がないか、ふと気になったからだ。
もし緊急の電話があって私に連絡がつかなかった場合は、夫に連絡がいくことになっているから、幼稚園からの連絡だけは
気をつけていないといけない。
幸い、どこからも着信はなかった。
「そういえば、子供って女の子だった?」
「そう、一人娘」
「いいなぁ…。うちはボウズばっかりだから、うらやましいや」
「あら、私は男の子も欲しいわ」
田辺さんが振り返った。
「俺の?」
「…ぷっ!!!」
私は吹き出した。
田辺さんの顔が真面目だったから、おかしかったのだ。
「あら…俺はわりとマジに言ったんですけど」
そのセリフに私は笑いが止まらなくなった。
「ひどいなぁ…。これも立派な愛の告白なのに…」
「それはそれは、ありがとうございます」
私はわざとらしく頭を下げた。
仕事のこと
家族のこと
子供の頃の話…
しゃべりながら歩いたら、あっというまに展望台に着いた。
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