1131人が本棚に入れています
本棚に追加
幼稚園のお迎えの時間になるまで、私は田辺さんといろんな話をした。
今までにもメールでたくさんの話をしていたから、話すことに何のためらいもなかったし
かっこつけたり、ごまかしたりする必要がなかった。
田辺さんのおしゃべりは、軽快で嫌みがなくて私は笑いっぱなしだった。
♪♪🎶
携帯のアラームがなった。
「あ…もう帰らないと」
「そっか。じゃあ送っていくから」
田辺さんが先に立ち上がった。
私はがっかりした。
田辺さんとの時間は、あまりにも楽しくて
あっというまに過ぎてしまった。
登ってきた遊歩道を戻っていく。
まだ帰りたくないと思った。
「あっというまだったね」
田辺さんが言った。
「うん、楽しかったぁ…
久しぶりに、こんなにしゃべってこんなに笑ったわ」
「楽しんでもらえたのならよかった。
最近少し元気なかったから」
「え?そうかな?」
「よくわからないけど
絡みのペースとか言葉がテンポ悪い気がしてね。
なんかあったのかなと思ってた」
「気づいてたんだ…」
「なんかあったの?」
あったといえばあった。
夫と喧嘩したのだ。
それもまた私の行動がおかしいから始まって、あげくの果てにお弁当やさんのアルバイトをやめろと言い出した。
私がそこの店長と浮気してるとか言い出したのだ。
私の携帯のアドレス帳に唯一ある男性の名前が、店長だったのだ。
もし何か特別な関係があったら、絶対アドレス帳にそのまま載せたりしないと思うのだけど。
最初のコメントを投稿しよう!