さよならの形

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幼稚園のお迎えの時間になるまで、私は田辺さんといろんな話をした。 今までにもメールでたくさんの話をしていたから、話すことに何のためらいもなかったし かっこつけたり、ごまかしたりする必要がなかった。 田辺さんのおしゃべりは、軽快で嫌みがなくて私は笑いっぱなしだった。 ♪♪🎶 携帯のアラームがなった。 「あ…もう帰らないと」 「そっか。じゃあ送っていくから」 田辺さんが先に立ち上がった。 私はがっかりした。 田辺さんとの時間は、あまりにも楽しくて あっというまに過ぎてしまった。 登ってきた遊歩道を戻っていく。 まだ帰りたくないと思った。 「あっというまだったね」 田辺さんが言った。 「うん、楽しかったぁ… 久しぶりに、こんなにしゃべってこんなに笑ったわ」 「楽しんでもらえたのならよかった。 最近少し元気なかったから」 「え?そうかな?」 「よくわからないけど 絡みのペースとか言葉がテンポ悪い気がしてね。 なんかあったのかなと思ってた」 「気づいてたんだ…」 「なんかあったの?」 あったといえばあった。 夫と喧嘩したのだ。 それもまた私の行動がおかしいから始まって、あげくの果てにお弁当やさんのアルバイトをやめろと言い出した。 私がそこの店長と浮気してるとか言い出したのだ。 私の携帯のアドレス帳に唯一ある男性の名前が、店長だったのだ。 もし何か特別な関係があったら、絶対アドレス帳にそのまま載せたりしないと思うのだけど。
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