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ぼんやり目を開けると、朝が来ていた。
カーテンの向こうから差し込む陽は、明るい。あちこちの部屋から、ヒトが活動する音が聞こえる。
本当は起きるべきだけれど‥‥。
あまりにもベッドが心地よくて、ぼくはもう一度眠ろうとした。
「起きなさい、ノナ」
目を閉じかけた瞬間、パパの声が聞こえる。
肩に大きな手が置かれたのがわかった。
「二度寝は寝起きを悪くするし、それに貴重な時間の無駄使いだ」
‥‥パパにはぼくの考えや行動がすっかりお見通しだ。
「ノナ」
「はい」
ぼくは二度寝を諦めて、やっと身体を起こした。
横を見ると、笑顔のパパと目が合う。
いつもの白衣が朝陽を反射して、少し眩しい。
「おはよう、パパ」
「おはよう」
ぼくも隙あらば落ちようとする瞼をこすって、ぼんやり笑う。
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