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それでも次の瞬間にはかなり目が覚めて、パパの笑顔がなんだか寂しそうなことに気づいた。
「パパ、何かあったの?」
「悲しい報せだ」
微笑みが溶けて消える。
パパの声は、あまり感情的になることはない。
でもその言葉には、穏やかな中にもはっきりと、哀しみという暗さがあった。
「ノナは、すみれを覚えているかい?」
「うん、覚えてる」
すみれはぼくが七歳になるまで、すみれのパパとママと一緒にここにいた女の子だ。
すみれのパパは技術者で、パパの研究を手伝ってくれていたんだ。この二人は昔からの友達でもあるらしい。
すみれはぼくと同い年で、あの頃はよく一緒に遊んだり、勉強したりしてくれた。
「すみれの両親が亡くなったらしい」
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