クレイドル

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「あら、驚かせてごめんなさい」 女の人がぼくに気づいて、にこやかに笑いかける。 その顔にすみれに似たものを感じて、ぼくははっとした。 「ううん‥‥、大丈夫」 フリーズしかけていた思考が動き出す。 ぼくは続けてこんにちはと言った――やっとあいさつができた。 「しっかりしてるわ。あなた、何歳?」 「九歳です」 ヒトとアンドロイドの年齢の数え方は違うのかもしれない。 でもぼくには自分が九歳だという認識があるから、そう答えた。 女の人はパパと同じくらいの歳に見える。男の人もたぶん、同じくらいだ。 「すみれちゃんと同い年なのね‥‥お名前は?」 「ノナです」 「ノナくん‥‥変わった名前だなぁ」 男の人は少し怪訝そうな顔をした。 ぼくは肝心なことをまだ伝えていないのに気づいて、慌てて付け加える。 「あのぼく、ヒトじゃなくて、」
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